デンタルニュース

(2019年12月号)

平成30年10月1日から、歯科医院における院内感染対策について、新しい基準での運用が始まりました。 これは平成26年と平成29年の2度に渡る「歯を削る機器を使い回している」という新聞記事がきっかけとなりました。 ”使い回し”と聞けば、汚れた機器をそのまま使い続けている印象を持ち大変不安に感じますが、 正確には治療中のごく一部の場合に消毒薬での拭き取りのみという歯科医院があったため、 より完璧な感染防止を行うために厚労省が院内感染対策指針を作成して指導したものです。 そこで今月は、『歯科医療の院内感染防止対策』についての情報をお届けします。 普段はあまり知る機会のない器具の滅菌方法や感染防止の取り組み等についてご紹介したいと思います。

原則、高圧蒸気滅菌器を使用‼︎

「消毒」とは微生物(細菌・真菌・ウイルス等)の数を減らすこと、これに対してすべての微生物を殺菌又は除去するのが 「滅菌」です。指針では口腔内に直接触れる器具は滅菌を原則としています。 具体的には①ハンドピース②バー(ドリル)③シリンジ④ミラー⑤歯石除去チップ等があります。 使用後はまず、血液や体液等の付着物を除去するために手洗い又は超音波による洗浄を行います。

その後、保管滅菌用パックに封入してから、オートクレーブという電子レンジより少し大きな機器の中で121℃以上の高温高圧蒸気で 全ての微生物を死滅させます。治療時にパックを開封するまで滅菌状態が保たれます。

高圧滅菌できない器具は…?

診療台から取り外せない器具や熱に弱い器具は、洗浄後、滅菌液(ディスオーパ等)に浸漬して滅菌します。 この薬液は微生物を5分以内で滅菌できる大変強力なもので、特徴として洗浄不足による残留蛋白があると、 その部分が着色し目で確認ができるので確実な洗浄の目安となります。洗浄・滅菌した器具は、紫外線灯滅菌庫で 使用直前まで滅菌状態を保ったまま保管します。さらに薬液による滅菌もできないエプロン、手袋、注射針、 うがいに用いるコップ等は使い捨て器具(ディスポーザブル)とし、患者様ごとに交換して新しいものを使用します。

訪問歯科診療でも同じ水準で‼︎

こうした感染防止対策基準の適用は院内のみならず訪問歯科診療でも同様で、滅菌した器材や使い捨て器具の使用と 訪問後の器材・器具の整備、滅菌を行うことを手順に定めて感染防止対策を講じています。

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