(平成29年7月号)
生活の質やコミュニケーションをはじめとした社会生活を営む上で口腔機能(食べる・話す・感情表現)は、とても重要で日常生活動作に直結したものであることを 前月号でご紹介しました。口腔機能向上という言葉は、ご家族等の介護者にとっては難しく感じるかもしれませんが、高齢者ご本人やそのご家族でも、ご自宅で簡単に取り組める方法があります。 1日5分程度、毎日継続して行えば、身体状態によっては、食事の量や質が高まり、生活に意欲がわいて、笑顔や会話がはずむ ことも期待できます。口腔機能を向上させるには、マッサージやストレッチを中心に、主に7数類の訓練方法があります。 今月は『口腔機能を向上させる訓練方法①』をお届けします。
“食べる”を鍛える「嚥下体操」
多くの場合、神経障害や認知症、脳梗塞の後遺症をきっかけとして、食べる、話す、感情表現等の口腔機能が低下、または 廃用に近い状態になります。これは、口から咽頭に関係する筋肉の筋力低下や硬直が原因なので、口腔周囲の筋肉が動くように リハビリを行うことで維持・改善が期待できます。まず今月は、嚥下体操をご紹介します。 嚥下体操は、食事の時に誤嚥してうまく食べ物を飲み込めない方にお勧めしたいもので、嚥下筋の筋力や可能性を鍛える体操で、 笑顔を作ることや会話することにもつながります。嚥下筋の中で最も重要なのは、舌と舌骨上筋群(ぜっこつじょうきんぐん)です。 舌は手足と同じ種類の筋肉ですから、使わなければどんどん弱くなってしまいます。舌骨上筋群は、ゴックンという飲み込み動作 に欠かせない筋肉で、顎の下側にある4種類の筋肉のことです。 「舌体操」「嚥下おでこ体操」「首体操」「肩体操」を組み合わせて舌や舌骨上筋群を伸展収縮させます。毎食前に行うと効果的です。