デンタルニュース

(平成29年4月号)

お口の健康状態が良いと、歯ブラシとフロスの2種類を使えば、ほぼきれいに磨くことができます。しかし、加齢とともに多くの人で、歯の状態は変化します。例えば、歯の欠損、歯茎が下がってくる、入れ歯を使用しているケース等では、タフトブラシや歯間ブラシといった清掃用具を新たに追加する必要があります。しかし歯磨き用具が増えれば、歯磨き自体が重労働になりかねません。そんな時、歯磨きしなくてもいい食べ物があったらもっと気が楽なのにと思ったことはありませんか。実は、歯の汚れを落とす効果を持つ清掃性食品という食べ物があります。そこで今月は『清掃性食品と停滞性食品』についての話題をご紹介したいとおもいます。

清掃性食品

歯の表面にこびりついた汚れを落としてくれる食品を "直接清掃性食品" 、そして唾液の分泌を促進して汚れを洗い流してくれる食品を "間接清掃性食品" といい、これら2つを合わせて『清掃性食品』と呼んでいます。

直接清掃性食品

歯の表面や粘膜に付着した汚れを取り除き、きれいにしてくれる効果のある食品とは
①食物繊維を豊富に含んでいて、②糖質や油分等を含まず、③ある程度硬さがあり飲み込むために何回も咀嚼する必要のあるような食品です。具体的には、キャベツ、セロリ、ニンジン等が直接清掃性食品の代表です。硬くて溶けませんから飲み込むまでに何回も咀嚼することになり、唾液もたくさん分泌されます。ザラザラした繊維質によって、歯の表面や粘膜の食べカスや歯垢が機械的に洗い流される結果、歯がきれいになるという訳です。

間接清掃性食品

梅干しや酢の物などの酸っぱい食品は、口に含むことで唾液の分泌を促し、食べカスを洗い流してくれる効果があります。唾液の分泌で食べ物の停滞と口内の酸性化を抑えてくれます。

停滞性食品

スパゲティ、カレー、パン、ビスケット、ポテトチップス。誰もが大好きだと思いますが、これらは糖分や油分を多く含み、歯にくっつきやすい食品で、『停滞性食品』と呼び、歯に良くないとされています。あまり噛まずに食べられる柔らかい食品では、唾液の多く分泌されない事から、歯に汚れが停滞して、むし歯の原因になってしまいます。停滞性食品はあまり摂らない方が良いことになりますが、それでは食生活の喜びが半減してしまいます。停滞性食品を食べた後には、セロリ等の清掃性食品を取ることで、簡単な歯磨きの効果を得ることができます。ただし歯磨きの代わりになるということではありませんので、食後や就寝前には歯ブラシでしっかりと歯磨きしてください。



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