プロの野球選手には、試合中によくガムを噛んでいる人がいます。これは脳への血流を活発にして集中力を高め、瞬発力を発揮できるようにするためだと言われています。特に、瞬発力を発揮するためにはしっかりと噛めることが重要で、
一流のアスリート達の間では、歯を大切にすることが常識になっています。大リーグで活躍するイチロー選手は1日5回も
歯を磨くと言われています。個人差もありますが、奥歯をギュッと噛みしめることで全力を発揮でき、咬み合わせが良いと
身体のバランス感覚に優れていると言われています。
今月は、『噛むことによって得られる効用②』をご紹介したいと思います。
噛んだ時の刺激がポイント
前号で「卑弥呼の歯が良いぜ」の“ぜ”の部分は、力を発揮(全力投球)できる効用があるとご紹介しました。 これは上下の歯が合わさる時に、「噛んだ!」という情報が脳の運動野という部分に伝わりその刺激が体を動かしたりバランスを 取ったりする骨格筋の動きに反射的な影響を与えるからです。
運動能力に差が‼
高齢者の中で、普通に噛めるグループと噛めないグループに分けて、握力と片足立ちできる時間を比較した調査では、噛めるグループ の方が良い結果であり、両グループの間には大きな差があることがわかりました。このことから歯が残っていることが重要だとわかります。 また中学生を対象に、上下の歯がどれくらいしっかりと咬み合っているのかを示す指標となる咬合接触面積が大きいほど、背筋力、 握力、50m走で良い結果でした。つまり歯の咬み合わせが良いと、運動能力が高い傾向にあることがわかります。
咬合力をアップしよう
運動能力をアップするためには、歯と歯を咬み合せる時に加わる“咬合力”を向上させることです。 基本となるのは、歯が残っていること、そして咬み合せが良いことの2点です。両者は、入れ歯・インプラントで歯を補ったり 隙間をなくして噛み心地を安定させるマウスピースをはめたりすることで改善することができます。
高齢者では日常生活活動に直結‼
実際に高齢者の場合では、残っている歯が20本未満になると転倒リスクが高くなります。残っている歯が
少なくなっても、入れ歯を使えば転倒予防に効果があると考えられています。
※高齢でもしっかりと噛める人は、生活するうえで必要な「起き上がる」「歩く」等の動作をスムーズに行うことが
できて、行動範囲も広がります。