ダイヤモンドは世の中で最も硬い物質です。そのためガラス等の硬い物を切断や加工する際は、工業用ダイヤモンドがよく使われます。実は歯を削る時にも、ダイヤモンド粒子を含む切削器具を使います。これは歯の表面を覆っているエナメル質がとても硬いからです。硬さの尺度である硬度で比較すると、ダイヤモンドが10であるのに対して、エナメル質は7です。ちなみにガラスは5、金は3です。そんな硬い歯でも、自分では気付かないうちに、亀裂が入ったりすることがあるのです。
そこで今月は、『歯のひび』についての情報をお届けしたいと思います。
歯のひび
歯の表面には硬いエナメル質があり、その下に象牙質というエナメル質より少し柔らかい組織が神経を覆うように存在しています。エナメル質は、引っかくような傷に対しては大変強いのですが、反面もろいという弱点もあって、歯に小さなひびが入ることがあります。前歯だと明るいところで鏡を見て気付くこともありますが、歯科医院で指摘されて初めて気付くことが多いと思います。
なぜ硬い歯にひびが入るの?
硬い歯にヒビが入る原因は、何かにぶつけるという外傷や、硬い物を噛み割る、歯ぎしり、歯のくいしばりといったことがあげられます。たとえば氷、アイスキャンディー、飴、鳥の軟骨等を思いきり“ガリッ”と噛み割ると、上下の歯がぶつかり瞬間的に大きな力が加わりひびが入るのです。噛み合わせのバランスが適切でなく、噛む力が一部の歯に集中してしまう状態であれば、さらにリスクが高くなります。
対処方法
ひびが生じている場合、症状によって治療方法は変わります。自覚症状が特にない場合は、表面のエナメル質層のひびと考えられるので、特に治療せずに経過を見ることになります。硬い物を食べる時は注意したり、普段からくいしばりをしないよう意識して下さい。 就寝中の歯ぎしりはマウスピースの使用をおすすめします。 一方、冷たいものがしみる、噛んだときに痛い等の自覚症状がある時は、エナメル質層よりも奥の象牙質までひびが入っている可能性があります。この場合は割れた部分を削って被せ物をします。もしさらにひびが深部の神経にまで達している場合は、神経を除去して根っこの治療を行った後に、被せ物をすることになります。