(平成23年8月号)
前回は「神経を取る」ということについてお話しました。
正式には神経を歯髄(しずい)と呼び細菌が歯髄まで進入してしまった場合には痛みを取るため、そして歯を残すために歯髄を除去する必要があるという内容でした。
この神経を取る治療について実際にどのように行われているのかをご存知のない方が多いのではないでしょうか。
そこで今月は、具体的な「神経の治療方法」をご紹介したいと思います。患者さんの病状や歯科医師の治療方針により異なる場合がありますがここでは一般的な治療方法をご紹介します。
1.歯髄の除去と清掃
1.麻酔後むし歯部分と歯の上部を削り歯髄を露出、除去します
歯髄は歯の咬み合わせ面から5~8mmと比較的深い場所にあります。
2.歯の根っこ部分の根管(こんかん)という細い管の中にある歯髄を取り除きます
針金のような専用の器具(ファイルやリーマー)を用いて、やすりがけする感じで根管の壁を削り取りながら狭い根管を拡げます。
細菌汚染された歯髄が残っていると後々違和感があったり腐敗して根の先に病巣をつくることもありますので洗浄消毒をしっかり行います。
根管は根っこと同じ数だけ枝分かれしています。
通常前歯で1本、奥歯で2~3本ありますがすべての根管を同様に歯髄除去、清掃します。
2.薬剤充填と補強
根管が綺麗になったら形を整え歯髄を除去した後の空間に棒状のゴムの薬剤(ガッタパーチャポイント)を緊密に充填し、無菌状態が保てるように処置します。 根管の治療が終ったら歯に金属を詰めたり被わせたりして歯が欠けないように補強します。
3.成功のポイントは
感染した歯髄を根管の先端まで完全に除去して根管をきれいにすることと、根管の先端まで緊密に薬剤を詰めることが神経の治療で重要なポイントとなります。 そこでこれらの処置を成功させるため器機(電気的根管長測定器)やレントゲンを使って根管の長さや形状を正確に把握して治療を進めます。